近鉄吉野駅で待っていると迎えの車が来た。車の中で運転手と、季節のことや吉野のことなど気軽に話してくれ、初対面で少しぎこちなかった気持ちもなごむ。良く聞けば、それは宿の主人で、どおりで色々なことに詳しいはずだ、と思った。
今夜の宿泊は、吉野山のシンボル、金峯山寺蔵王堂の門前宿として300年続く「吉野荘 湯川屋」。1996年に改装し、吉野の材木を使った木造吉野建てで、周囲の風景となじむように建っている。「湯川屋」と書かれた木材の看板と玄関先に飾ってあった大きな花瓶の草花に、宿としての心意気が感じられる。
旅で疲れた体を風呂で温め、部屋で吉野の緑を見ながら夕食を待つ。食前酒、先付け、前菜が並べられ、酒を注文する。向付け(造り)までいただいて、はたと気づいた。そう、湯川屋では、海の幸の食材はなく、山の幸、吉野の幸で料理されていた。例えば、吉野の胡麻豆腐、火を通した銀杏、鹿のたたき、造りは山ふぐ(こんにゃく)、葛、湯葉など。気を配られた盛り付けと繊細で品の良い味付けは吉野に泊まる意義を再確認させられる。
その中でも一番食したいと思っていたお目当ての一品は「西行鍋」。800年前、西行法師が食べたであろう鍋を再現したもので、季節の野菜と鶏肉をあしらった塩ベースの出汁と、吉野葛でこくを出した鍋で、それを白ごまをすった器でいただく。淡白な風味に胡麻のこくが合わさり、独特な味の鍋で、いくらでも食べれるような気がする。女将に尋ねるとこれを目当てにここに来る人も多いと言う。
その後、出された料理も葛のあんかけの蒸し物、湯葉や高野豆腐の天婦羅や葛味噌の鮎の焼き物など普段お目にかかれない料理をいただいた。
翌朝、食事の際に女将に教えてもらった金峯山寺蔵王堂の朝の勤行(朝6時半)に行った。修験道の山伏が吹くホラ貝を吹いたり、太鼓を叩きながら般若心経を唱える様は68本の原木を使って建てられたお堂に響き、一見の価値がある。
朝食は吉野の茶がゆも出され、全体的にあっさりとした料理内容で、日頃の朝食より多くいただいた。帰り際に主人と女将に吉野の見所を教えてもらい、宿をあとにした。「あたたかみのある宿を目指している」と聞いたが、屈託のない二人の笑顔が、滞在にあたたかさを添えている。
通常期間料金 (1泊2食付) |
2名1室 | 3名1室 | 4名1室 | |
和室10~12畳 | 平日 | ¥20,900 | ¥20,350 | ¥19,800 |
休前日 | ¥22,000 | ¥21,450 | ¥20,900 | |
掘りこたつ式の 和室6.5畳 |
平日 | ¥19,800 | - | - |
休前日 | ¥20,900 | - | - | |
露天風呂付和室「山桜」 | 平日 | ¥38,500 | ¥37,400 | ¥36,300 |
休前日 | ¥44,000 | ¥42,900 | ¥41,800 | |
露天風呂付和洋室「金木犀」 | 平日 | ¥38,500 | - | - |
休前日 | ¥44,000 | - | - | |
お子様料金 | ・大人に準じた料理の場合:大人料金の70% ・お子様ランチの場合:大人料金の50% ・お布団のみの場合(食事なし):大人料金の30% ・食事・布団とも必要ない場合:大人料金の10% *露天風呂付客室はお子様の受け入れはございません。 |
部屋での食事 | 夕食は、お部屋食、または別個室となります。朝食は、お部屋、または広間でご準備します。 | |
クレジットカード | JCB、VISA、MASTER、AMEX、DC,UC、ダイナース | |
駐車場 | 10台(無料) | |
送迎 | 近鉄吉野駅まで *但し、4月は交通規制があるためご対応しておりません。 |
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洗面セット | 歯ブラシ、歯磨き粉、フェイスタオル、石鹸、靴下 | |
バスセット | バスタオル、浴衣 | |
貸し出し品 |
【収容人数】 70人 |
〒639-3115 |